水素のエネルギー
水素の特徴
水素は下記に挙げる特徴があります。
- 燃料電池と組み合わせるとCO2を出さずに発電できる
◎燃料電池は水素と空気中の酸素を反応させて、電気と熱を得ることができる装置です。しかも、排気されるのは水(水蒸気)のみです。 - いろいろなものからつくられる
◎水素は水を電気分解(水分解)して製造することが可能です。もし電気が太陽光や風力、水力でつくられたものなら、まったくCO2を生み出さずに水素を製造することが出来るのです。 - 長い時間貯めて持ち運びが可能
◎太陽光や風力などの自然エネルギーによる発電は、風や天候によって止まったり、弱くなったりします。そのため「不安定電源」とも呼ばれます。しかし、そのような「不安定電源」でもその電力で水素を作っておけば、水素を長時間貯めておき、燃料電池でいつでも電気に戻すことができるのです。
水素エネルギーの利用先
水素をエネルギーとして利用するには
【①エンジン等で燃焼させる方法】や【②燃料電池を用いて電気を作る方法】があります。いずれの場合でも水素は、利用段階ではCO2を排出しないクリーンなエネルギーですが燃料電池のほうがエネルギー変換ロスは少なく、効率的といえます。
①エンジンの場合:水素→熱エネルギー→運動エネルギー
②燃料電池の場合:水素→電気
2014年に日本が世界に先駆けて市販した燃料電池自動車(FCV)は水素と空気中の酸素によって発電し、モーターで駆動する自動車です。
FCVはガソリン自動車よりもエネルギー効率が高く、走行時にはCO2を排出しません。
また電気自動車(EV)と同様に発電した電力を外部に供給することも可能です。
さらに水素タンクを持っているのでEVに比べて5倍以上の供給能力があり、災害等の非常時における避難所への電力供給などの活用も期待されています。
着実に普及する水素ステーション
FCVに高圧の水素ガスを供給するのが水素ステーションです。水素ステーション網の充実はFCV普及の鍵となっており、官民が一体となって整備を進めています。
これまで四大都市圏を中心に整備が進められており、2020年6月時点で全国で130を超える水素ステーションが設置されています。
当面はFCV普及のために、FCVの台数よりも水素ステーションの数を先行させる形で普及が進められますが、2020年代後半には、FCV台数(水素需要)と水素ステーション(水素供給)のバランスよい普及発展が見込まれています。
なお2030年時点には、標準的な水素ステーション(300Nm₃/h)の供給能力をもとに換算すると、約900か所の水素ステーションが全国に普及されることが期待されています。